『夢から、さめない。』 アニメ世代に贈る青春の神話

■監督:井上修
■1987年
■40分

 

マンガ家、小説家、ラジオ番組のプロデューサー…
多方面での可憐なご活躍で絶大な支持を受けておられるカリスマ、白倉由美先生が原作のOVA。

 

白倉先生の、ふんわりと目に飛び込んでくる制服少女の絵は、80年代からあちこちで拝見していたので、もちろん知っていたが、小説は読んだことがなかった。
今回の紹介を書くにあたり初めて手に。
作品はもちろん、OVAの原作本、角川スニーカー文庫の『夢から、さめない』をチョイス。
きちゃない安全靴が標準装備のオッサンがスニーカー文庫。そして一読驚愕。
様々な登場人物によって、青春の一幕のエピソードが語られる連作モノなのだが、主人公の男子が授業をさぼって屋上に上がると、クラスメイトの美少女が昼寝中。
すると、その男子が少女の寝顔を見つめ!普通に頬に触れ!頭をなで!「おこちゃまだなあ…」とほほ笑み!目覚めた少女のまぶたにキスしたりするのだ!(この時点でまだ ただのクラスメイト。別につきあってない)

 

これは…!
12頭身ぐらいのスレンダーナイスボデエと、詩学(しがく)とか空音(そらね)とかカッチョいい名前を持つ可憐な白倉キャラたちだから許されること!
もし私が同じことをやれば!
目覚めた少女は号泣!「倉井にレイプされた!」と叫びながら職員室に直行!全校生徒が蔑みの目で見つめる中、引き回しの刑みたいにパトカーまでしょっぴかれるという悪夢のようなことになり!「夢から、さめたい…」とションボリつぶやくことになるのは必至!
私が今までまったく知ることのなかった少女たちの世界が本の中に広がっていた。

 

ちなみにこの本、短編マンガも2本収録という豪華仕様。美しい表紙&イラストも、もちろん白倉先生である。
ライトノベル数あれど、自作のイラストやコミカライズをここまでバッチリ手がけることのできる作家さんは、そうそういないだろう。
本当にすごい多才っぷりだ。

 

そしてこのOVA。
主人公の男子高生・藤井貴生(ふじい たかき)は、青春モノの定番だが私は一回もやったことがない「自転車を直してあげるキッカケ」でクラスメイトの美少女・川原砂緒(かわはら すなお)と話すようになる。
自転車…それは、青き日の恋を走らせる車輪…
貴生は砂緒に魅かれるようになるが、彼女には良からぬウワサがあり、クラスでシカトこかれていた。
そのウワサとは?そう!
「あいつはポルノビデオに出てるらしい」というものであった…

 

 

このエピソードは上記の原作本には登場しない。白倉先生がOVA用に書き下ろしたもよう。
それを脚本にしたのは『パイレーツによろしく』の作家、川西蘭さん。
また『東京女子高制服図鑑』などのベストセラーで有名な制服のスペシャリスト・森伸之さんがヒロインたちの制服をデザイン。

 

予告編によると本作は「異色の新人類トリオが作り出したアニメーションアイドル、川原砂緒が主演する青春アニメーションビデオ」とのこと。
その主演・川原砂緒の役を主演したのはアイドル時代の佐野量子さん。もちろん主題歌もチャーミングに歌唱。作詞はリアル・アイドルマスター秋元康さん。

佐野量子 夢からさめない (フルコーラス)(NotFadeOutVer.)

 

「くりいむレモンが始まってしまった」と完全に勘違いする、ヒロイン・砂緒たんのセクシーグラビアで幕を開け、「ちょっち」とか「半分きゃ」などのナウい死語が「これでもか!」と飛び交う中、後ろ髪が長い主人公の、謎めきヒロインへの初恋の想いが疾走する、とにかくとことん80年代づくしな胸キュンOVA。

 

 

…と、この作品の紹介は、私の駄文よりも予告編の最期の言葉で閉めるのが良いだろう。
「SFもメカニックもない。ただ初恋のときめきだけをアニメの画面に封じ込めた。これは、アニメ世代に贈る青春の神話です。」

 

 

  • オススメ度…55/100
  • 無料動画の配信…Youtube
  • 有料動画の配信…なし
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHSがたまに…ない!

白倉由美先生の原作小説(マンガも収録!)