■監督:鳥海永行
ACTⅠ 裏切りの大空(1985年 50分)
ACTⅡ 狼たちの条件(1985年 50分)
ACTⅢ 燃える蜃気楼(1986年 90分)
新谷かおる先生の大ヒットコミックのアニメ化。
友人の策略で、地獄の最前線に送り込まれてしまった日本人パイロット風間真(カザマ シン)の、苦悩と戦いの日々が凄まじいクオリティの高さで描かれる。
特にドッグファイトのシーンは衝撃だった。
敵機に後を取られたり、目をつぶされたりしてパニックを起こすパイロット。
キャノピーやヘルメットを染める血。
銃弾を撃ちこまれて、紙細工のようにもろく、バラバラになって落ちていく戦闘機。
それを見つめる主人公の冷たく、哀しい眼差し。
「板野サーカス」とは、また違う魅力。
人体や、戦闘機の「もろさ」が伝わってくる、生々しい描写が凄い。
戦闘シーンの血がたぎるようなBGMやMIOさんの歌うエンディングも素晴らしい。
キャラクターの魅力も最高。特に司令官のサキ!ゾクゾクするぐらいカッコいい。
流れる黒髪がたまらん!志垣太郎さんの声も激シブ!「ACTⅢ」でペンをクルッと回すシーンのディテールの細かさ!ラストのミッキーとの会話、続いての特攻には燃えた!
シン役の塩沢兼人さんも、ミッキー役の富山敬さんも逝去されてしまった。
80年代のアニメファンには、とても哀しい。
ちなみに私も全巻コンプリートしてた原作には、「キム」という少年兵と「サラ」という女性兵士が登場。
しかし、このOVA版には、まったく出てこない。
アニメ誌のインタビューで、そのことについて聞かれた監督。
「戦争の悲惨さを描いたとしても、この作品は所詮は娯楽。そういう物に少年や女性を出すっていうのはね。ルール違反ですよ。」
という趣旨のことをおっしゃっておられた。
子供心に、「大人の深い思慮分別」のようなものを感じた。
「この監督は凄い人だ!」と、鳥海永行(とりうみ ひさゆき)さんのお名前を覚えることになった。
「ACTⅠ:裏切りの大空」と「ACTⅡ:狼たちの条件」は一本の作品に編集して劇場版として公開された。あまりにもデキが良かったかららしい。もっともだ。
広島では、菊池桃子主演の「テラ戦士ΨBOY」という、よくわからない映画と、よくわからない同時上映だった。
他の都市では、どうだったのだろう?
当時、菊池桃子目当てで、劇場に足を運んだ、まったくアニメに興味のないクラスメイトが「エリア88、面白かった…」と言っていたのを覚えている。
ちなみに「テラ戦士ΨBOY」に関しては無言であった。ラ・ムー!
- オススメ度…88兆点/100
- 無料動画の配信…Youtube(ACTⅠ~Ⅲまですべてあり)
- 有料動画の配信…なし
- ソフトの宅配レンタル…ツタヤ・ディスカス、ぽすれん、ゲオ(3社とも劇場版とACTⅢ)
- ソフトの販売…ACTⅠとACTⅡを繋げた「劇場版」と「ACTⅢ」のDVDあり
■追記(2022年12月8日)
志垣太郎さんが演じられたサキ・ヴァシュタール!
本当にこの上なくカッコ良く、シブく、凛々しかったです!
ご冥福を心よりお祈りいたします。