『ワット・ポーとぼくらのお話』 ジブリ映画級の感動があるファンタジー・アドベンチャー!

■監督:影山楙倫
■1988年
■55分

 

テレビアニメはもちろん、『幻夢戦記レダ』『ウィンダリア』など、数々の名作OVAを生み出した80年代アニメ界のかなめ、カナメプロダクションの作品。
キャラクターデザインはそう!
もちろん、いのまたむつみさんである。

 

 

そして、脚本はなんと!
『ウルトラマン』や『宇宙刑事シリーズ』でおなじみ、上原正三さんなのである。
ウルトラシリーズや特撮ヒーローものよりも高給な『東芝日曜劇場』の仕事をすすめられるも断り、子供向け作品の脚本を執筆し続けたという上原さん。
そんな、ウルトラマンぐらい絶対信頼できるエピソードをお持ちの上原さんらしい、子供たちが大活躍するストーリー。

 

美しい海に囲まれたある村。
しかし「バード」と呼ばれる、自在に飛びまわる謎の鳥怪人たちにより、海の守り神、一角鯨の「ワット・ポー」が、さらばアフリカ方式で空からさらわれてしまう。
とたんに不漁となった村。
人々は村を見下ろすように高くそびえるバードたちの住む山に憎悪を向ける。
そんな中、村の少年・ジャムは、謎の少女が吹く笛の音に導かれ、「ワット・ポー」を」取り戻すべく、仲間たちと共に、謎に満ちた山を目指す。
冒険の中、ジャムが知ることになる「バード」たちの驚愕の正体とは…?

 

 

『カリオストロの城』オマージュ感満点の背景がグングン動くバイクアクション。
「子供向け作品かな…」とナメて見てたら大ケガ必至の「ラピュタの雷」や「ロボット兵」にも匹敵する狂暴な破壊描写などなど、スーパーアニメーター・金田伊功さんも参加なさった作画が、さすがのカナメプロな素晴らしさ。

 

 

燃え上がる憎悪に煽られ戦争を始めようとする大人たちと、平和解決に奮闘する少年ジャムとの対比で盛り上がるサスペンスも凄い。
シンプルなデザインが逆に禍々しい、恐るべき超兵器「アンゴルモア」の存在が緊張感に拍車をかける!
ワンちゃん一匹に至るまで見せ場を用意した、キャラクターたちの描き方も丁寧。
タイアップソングが多い80年代OVAだが、作品の内容にきちんと基づき、一角鯨ワット・ポーへの想いを紡いだ美しい主題歌も胸に刺さる。

 

 

 

大変恥ずべきことだが、観る前、正直、私はちょっとナメていた。
しかし…

 

少年少女たちへ
限りない夢と希望をー

昔ー少年少女だった大人達へ
忘れかけていた冒険をー

 

作品冒頭に画面に表示されるこの言葉はダテじゃない!
わずか55分ながらもジブリ映画級の感動があるファンタジー・アドベンチャーです!

 

  • オススメ度…78/100
  • 無料動画の配信…Youtube ニコニコ動画
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