『海の闇、月の影』少女たちのハートにタッチしまくった双子ホラーサスペンス!

■監督:出崎哲
■1989年
■全3巻(各巻30分。巻末に約10分のボーナス同時収録作品あり)

第一章『甦る呪い』(巻末同時収録『Cherryのまんま』)

 

 

第二章『悪夢の予感』(巻末同時収録『あの子に1000%』)

 

 

第三章『運命の対決』(巻末同時収録『少コミワールド』)

 

美しいヒロインがケモノに豹変する!
いたいけな少女たちの瞳をページに釘付けにし、雛形あきこさん主演によるヌー度高めのドラマ化でケモノのような野郎どもの瞳もテレビに釘付けにした、少女マンガ版『キャットピープル』こと『闇のパープルアイ』!
篠原千絵先生がこの代表作に続き、ホラーサスペンスという必勝のホームグラウンドでまたしても大ヒットを飛ばした作品。
それが『海の闇、月の影』である。

 

 

洞窟の崩落により、太古のウイルスに感染してしまった双子の仲良し姉妹、流風(るか)と流水(るみ)。
命は取りとめたものの、流水は優しかった性格が激変!
今までけっして見せることのなかった心のダークサイド・オブ・ザ・ムーンがあらわになったかのように狂気大爆発!
宙に浮いたり、物体をすり抜けたり、キスした相手をシモベにしたり…
ウイルス感染によってゲットした人外パワーを欲望のままに使い、憧れの先輩を奪うべく流風を狙い、やがてヒットラーもドン引き必至の恐るべき野望を抱き始める…

 

 

『闇のパープルアイ』と同じく、ヒロインたちの家族や大切な人たちの命が次々に奪われていく容赦の無い展開にガクガク!
鬼畜の所業を繰り返す流水たち敵キャラに対して怒りメラメラ!
私などは「こんな奴らとっとと殺してしまえーい!」と思うのだが、ヒロイン側の人たちが優しイイ人ばかりなので、トドメが刺せるギリギリのとこでたびたび躊躇寸止め!逆に何度も窮地に追い込まれてしまう展開にハラハラ!
胃がキリキリするような緊張の連続の中に、ふいに差しはさまれる美しいロマンスにもメロメロ!
シモベを増やすことができる流水の能力により「まさかこの人までも!」と、信頼できる人が街からどんどんいなくなり、しだいに追い詰められていく『盗まれた町』的恐怖や、「双子」という設定を活かした巧み過ぎるボディ・ダブル・サスペンスにもまんまとドキドキ!
少女たちのハートにタッチしまくったのも納得な、双子モノの名作である。

 

OVA版は、この大ヒットした原作の序盤をアニメ化。
少女たちならずとも「どうか、実はいい人でありますように…」とウットリ願った、敵か味方か謎の金髪美青年、あのジーン・ジョンソンが登場する前までのお話である。

 

 

ベテラン出崎哲監督の確かな演出が頼もしい。
昭和テレビアニメのクライマックスバトルでよく見られた、たぎるマグマ色に染まる戦闘空(せんとうぞら)ばりに、ホラーシーンになると必ず画面が真っ青に染まる恐怖演出と、原作同様容赦のないエグい殺人描写に観てるこちらも真っ青になることまちがいなし!

 

 

「こんな感じでこの先、ジーンが登場してからの展開も観たいな…」と思える仕上がりになっており、同じく少女マンガ誌に連載され、原作完結から長い時を経てテレビアニメ化された『BANANA FISH』のように、本作も充分その可能性はあるのではないだろうか?

 

 

ちなみにビデオの最終3巻には、週刊少女コミックに連載をなさっておられた綺羅星のごとき作家の皆さまのキラキラ美しいイラストギャラリーと、篠原千絵先生のメッセージが収録。

 

 

また、1巻と2巻には、『海の闇、月の影』と同じフラワーコミックメイトだった『Cherryのまんま』と『あの子に1000%』の短編アニメがそれぞれオマケ収録。
「私のおニューのパンティー盗ったでしょ」「盗ってない」とか「彼氏がそっけない。年下の女子と帰ってるのを見た。浮気してるでしょ」「してない。プレゼントしたくてナイショで家庭教師のバイトしてた」みたいな、Cherry感まんまんの少女マンガ純度1000%なナイスお花畑アニメでした。

 

Cherryのまんま

あの子に1000%

 

  • オススメ度…74/100
  • 無料動画の配信…なし
  • 有料動画の配信…バンダイチャンネル
  • ソフトのレンタル…なし
  • ソフトの販売…中古のVHS