『装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー』 ボトムズのファーストOVA

■監督:高橋良輔
■1985年
■53分

 

地獄を見れば心がかわく
戦いはあきたのさ

 

…という、それまでのロボットものではありえなかった、クールな詩にむせるオープニング。
そして「第1話 終戦」というビックリなタイトル。
「え!?戦いはあきちゃったの?第1話なのに終戦なの?」
…という衝撃の始まりから四半世紀以上。
しかし「この戦いはあきない!」と言わんばかりに、今もなお、新作や、スピンオフ、プラモデルなどが次々と製作され続けている、SFロボットアニメの金字塔「装甲騎兵ボトムズ」。
そのOVAである。

 

テレビ版本編は、大きく分けて4部構成。盗まれた過去を探し続けて全53話の長きに渡る放映。
このOVAは時系列的には、1部「ウド編」と2部「クメン編」の間のエピソードとなる。
終戦間際なのにムチャな作戦をさせた憎き上官に復讐すべく、キリコをふくむ4人の元レッドショルダーが集合!
プラモ少年魂全開でスクラップからスクラッチビルドしたAT(アーマード・トルーパー)に乗り込み、殴り込みをかける!…という、クールなようで熱い情念がマグマのようにたぎるストーリー。

 

 

クセのある4人のレッドショルダーメイトたち。過去に深い傷を持つがゆえのお互いの確執。ケンカ大爆発。
しかし、何気に優しい我らがツンデレ主人公キリコきっかけで「ある事実」が判明し、ホッコリ仲直り。
そこからのアガる共闘、そして心打たれる自己犠牲…と、『装甲騎兵ボトムズ』のサブエピソードとしてだけでなく、「チーム作戦モノ」としての面白さもシッカリと確保された非常に見応えのある作品。

 

鈍い音を立ててきしみ、火花をあげてぶつかる分厚い金属の重みが伝わってくるようなATバトルは、OVAならではの安心のハイクオリティな作画で迫力満点。
弾丸の力で繰り出す必殺アームパンチや、降りてくるゲートをすりぬける華麗なローラーダッシュなど、武骨なルックスと頻繁に乗り捨てられてしまう切なさを合わせ持つATたちのカッチョいい見せ場もキチンと用意。

 

 

また恐るべきPS(パーフェクト・ソルジャー)イプシロンの「寝起き」のかわいさ、彼に対して母のような優しさをみせるフィアナの美しさも必見。
オープニングとエンディングはテレビと同じ!アニソン史に残るあの2曲が流れるのもファンはうれしい。

 

 

「第3回日本アニメ大賞OVA最優秀賞」を受賞も納得の名作ではあるが、テレビ版を未見の方は、やはりそちらを見てからぜひ!
「だって長いんだもん!」…という方は13話目まででもいいから、見てからぜひ!
そのほうが、ココナ、バニラ、ゴウトの仲良し3人組が、文字通り「ラストレッドショルダー」になってしまった孤独なキリコを思う最後の会話が胸に沁み、きっと続きが観たくなると思います。
そしてクメンへ!