『湘南爆走族11 喧嘩の花咲く修学旅行』ラストランに向けて湘爆、西へ

■監督:佐々木憲世
■1996年
■54分

 

湘爆の人気に続け!
数々の後追いツッパリマンガ軍団を結成させ、そして最後までぶっちぎりだった『湘南爆走族』!
原作と同じく人気街道を突っ走ったOVA版の彼らは、このたびの11巻では修学旅行で京都へでっ発!
湘爆、西へ!

 

 

修学旅行を間近に控えた津山さんは、江口との関係が「手芸部の仲間」「ただの友だち」から進まぬことに悩んでいた。

 

 

京都に着き、はしゃぐみんな。
しかし津山さんだけは「遠足熱」を出して寝込んでしまう。

 

 

心配して部屋を訪れた江口だったが、そこに彼女の姿はなかった…
京都大原三千院、恋に疲れた女がひとり。
津山さんはいったいどこへ…?

 

 

軸となる原作エピソードは、単行本4巻に前後編で収録された「修学旅行」。
この大切な旅の夜の恋バナに、ゆれる乙女心を繊細に描いたポエジーな名編「津山さんの詩」(8巻)や、オレのハンダンだと後期で最も熱い爆笑回「マルの紹介物語Ⅱ 銭湯ウォーズ」(14巻)などを巧みに足して構成。

 

 

シリアスとデフォルメがタイミングよくクルクル変わる作画、声優の皆様の熱演もあり、漫画界随一な「よっちゃんギャグ」も、なかなかおちゃっぴいに再現されている。

 

 

サブタイトル通り、ストーリーのあちこちに花を咲かせる喧嘩シーンも、他校のツッパリが江口にやられ、天高く吹っ飛んでキラリ!文字通り星になったりするコミカルな方向に振り切っており、凄惨さはないので安心して楽しく旅の喧嘩見物可能。

 

 

本作、「喧嘩の花咲く修学旅行」というより、どちらかというと「恋の花咲く修学旅行」という趣で、津山さん、そして「メシムラさん」こと飯村さんの江口への想いが、あまたの80年代キラキラ少女漫画たちともタイマンはれるぐらい可憐に丁寧に微熱のような温もりをもって描かれている。

 

 

特に、津山さん役の鶴ひろみさんが、情感たっぷりな歌声を京都の夜空に響かせる女ひとりデュークエイセスっぷりは必聴必見!

 

 

また、原作におけるシャバ僧キャラたちの番格、主演回も一度あった名脇役の俵(たわら)くんが、このたびOVA初登場!
吉田聡著『日本病名造語辞典』から引用した豆知識を披露してプチ目立つのも、同じシャバ僧の私としてはプチうれしいポイントであった。

 

 

ところで、昭和から平成にかけて14年間の長きに渡りノンストップ&アクセル全開でリリースされ続けてきたOVA版『湘南爆走族』も、次回の12巻でついに完結。
そう聞くと原作ファンの皆さまは「なぜゴール間際で、原作マンガ連載初期のこの修学旅行のエピソードのアニメ化が必要だったのか?」きっとおわかりいただけるだろう。
本作は、OVA版『湘爆』のラストランのための大切なアイドリングでもあるのだ。