『機甲界ガリアン 鉄の紋章』 深い眠りにつくのは素敵に生きたときだけ

■監督:高橋良輔
■1986年
■54分

 

深い眠りにつくのは 素敵に生きた瞬間(とき)だけ

(機甲界ガリアン エンディングテーマ『星の1秒』より)

 

中学の頃、部活もせず、ファミコンとアニメまみれで、あまり素敵に生きてたとは言い難いが、しかし深い眠りにもつきまくり、毎日寝坊しまくりあげていた私も、日曜の朝はシャキーンと起きれていた。
『機甲界ガリアン』を観るためである。
そう!
私の住む広島では、『ボトムズ』のスタッフの皆さんが贈ってくださったこの「剣と巨大ロボのパンツァーワールド」を、日曜の朝8時30分に放映していたのだ。

 

 

『ガリアン』の何にしびれたって、何と言ってもやはりあのオープニングとエンディングである!
昭和アニソン史に永遠に名を刻むこの2曲を手がけたのは《EUROX》というバンド。
これまた銀河に轟く神曲、銀河漂流バイファムの主題歌『HELLO! VIFAM』の《TAO》から派生したグループだ。

 

オープニング『ガリアン・ワールド』を聞けば、もうあの♪タタタンタン…♪の前奏でテンション爆アガり!
伸びやかなボーカル、英語詩で紡がれるファンタジックな世界観に陶然!
昭和アニソン特有の「テレビオンエア版にだけは曲中に効果音が入る演出」にもシビれまくり!
エンディング『星の一秒』を聞けば、寂寥感あふれる始まりからの突然雲間から光がさすように爆発的に盛り上がるメロディーラインと「深い眠りにつくのは 素敵に生きた瞬間(とき)だけ」という歌詞に涙腺ジワリ!
若いアニメファンの方々にもぜひ聞いて頂きたい名曲である!聞かせたガリでごめんなさい!↓

 

『機甲界ガリアン』オープニング 《ガリアン・ワールド -Run For Your Life-》

 

 

■『機甲界ガリアン』エンディング 《星の1秒》

 

本編も、もちろんオススメ。
遺跡から掘り起こした太古の鉄巨人たちを使い、惑星アーストの覇権を狙う暴君マーダル。
幼くして父を殺され、母を奪われた王子ジョルディ。
忠臣アズベスによって命を取り留め、たくましい少年に育ち、伝説の鉄巨人《ガリアン》に乗り込み、仲間たちと共にマーダルに戦いを挑む!
ジョルディは無事に母に会えるのか?激しい戦いの果てに知るマーダルの驚くべき秘密とは…?

 

 

『ボトムズ』に続き、塩山紀生さんがキャラクターデザイン。
そしてなんと全話、作画監督を担当。非常に絵が美しく、中世の騎士がぶつかり合うようなロボットアクションは迫力満点。ハリウッド映画『パシフィックリム』にも登場した蛇腹剣のカッチョ良さときたら!でっかいチビッ子の皆さんになら刺さること間違いなし!
謎めいた物語も吸引力抜群だ。

 

 

さすが名作、Amazonを始め様々な動画配信サービスで視聴可能。しかも「全25話」と比較的短めなので、お時間があればぜひ。
また、OVAが3本出ており、その中の『Ⅰ 大地の章』と『Ⅱ 天空の章』は、実はテレビ版の総集編である。
全話観た場合よりも、最終話のあの粋な特別エンディングの感動が多少薄まるかもしれないが、お忙しければこちらもオススメ。

 

そしてOVAの3本目としてリリースされた、この『鉄の紋章』。
「Ⅲなのか…ⅠとⅡやテレビ版を観るのがめんどくさいな…」とお考えのあなた!心配ご無用!
当時観た時、私もビックリ仰天したのですが、本作、「Ⅲ」となっているが、デザインや設定などをテレビ版とはまったく変えた、パラレルワールド的な独立した作品なのである。
つまりテレビ版を観てなくても、いきなりこの『Ⅲ』だけ観ても大丈夫!心配ご無用!

 

戦乱の世に終止符を打とうとする名君マーダルは、覇業の達成を目前にして、邪神兵に魅入られた息子ハイシャルタットに殺害されてしまう。
弟のジョルディは伝説の鉄巨人に乗り込み、これを迎え撃つ!テレビ版と全然ちゃう!

 

 

54分の上映時間の内、後半13分ぐらいがなんとずっとバトルシーン!
大河原邦男さんがデザインしたテレビ版ガリアンから、ローラーダッシュや飛行形態への変形などのオモチャ向けのギミックを排除した、出渕裕さん版ガリアン。
禍々しさと神々しさを兼ね備えたこの鉄巨人が、闘気をまとって竜巻の中から出現!

 

 

暗雲たれこめ、雷鳴轟く中、襲い来る機甲兵たちをひたすら斬って斬って斬りまくる!
音楽も排し「グニュウウゥ~!グワッキーン!」という鋼鉄がしなり、きしみ、ぶつかり合う音がひたすら延々鳴り響き続ける脅威のガリアン15人斬り!

 

 

そして、その後に待ち受ける、兄・ハイシャルタットの邪神兵とのタイマンは「ラオウVSケンシロウ」にも匹敵する荘厳なド迫力!
シンプルだが力強い、神話性すら感じさせるこの兄弟喧嘩ロボOVAをしかと見るべし!