■監督:望月智充
■1984年
■90分
『うる星やつら』などを手がけ、昭和アニメ界を大ヘンにぎやかに楽しくしてくださった《スタジオぴえろ》。
80年代を代表するこの名作アニメーカーがステキなプレゼントのようにキラキラと世に贈り出し続けてくれた「魔法少女シリーズ」。
その記念すべき第一弾にして最高傑作!
それが『魔法の天使 クリィミーマミ』である!
ヒロインは、おてんば かつピュアな小4女子、森沢優(もりさわ ゆう)。
ある日のこと。
優は、魔法の世界《フェザースター》から迷い込んだ空を飛ぶ箱舟を、そのピュアさゆえ、難破の危機から救い出す。
箱舟の主 ピノピノはお礼として、魔法を使える能力を優に与える。
魔法の使用期限は今からちょうど1年間。
そしてこのことは絶対に誰にも秘密!
「知られたら魔法を失うことになる」と警告し、お目付け役として猫型使い魔コンビ、ネガ&ポジを残し去って行く。
パンプル ピンプル パムポップン、ピンプル パンプル パムポップン!
試しに魔法の呪文を唱えてみた優は、美幼女からちょっと大人な魅惑の美少女に変身!
たちまちスカウトされ、クリィミーマミとして歌手デビューし、あっという間にトップスター誕生!
かくして優の「天使じゃない普通の女の子」でありつつ「魔法の天使クリィミーマミ」でもあるという、誰も知らない知られちゃいけない、1年間の秘密のWワークライフが始まったのであった。
Amazonプライムのレビュー欄に「娘がハマっています!」という、80年代に青春を過ごしたらしき お母さまの投稿があった。もちろん星5つ!
なるほど納得。世代を超えて愛され続けるのも当然の名作。
まず、日本アニメ史上最高のキャラデザクイーン 高田明美さんによるチャーミングな登場人物たちと、それを演じた声優さんたちがすばらしい。
水島裕さん、土井美加さん、島津冴子さん、井上和彦さんなどなど、そうそうたるメンツのスター声優が並ぶが、そんな中でもひときわキラリ!誰にも似ていないオンリーワンすぎる独特きわまりない強烈な輝きでアニメファンを明るい笑顔にさせたのは、ヒロインの優&マミを演じ、作中の数々のヒットソングもすべてご自身で歌った太田貴子(おおた たかこ)さんであろう。
マミと同じく本作がデビューのほんまもんの新人アイドル!この時まだ16歳!
この世には3種類の声優が存在する。
うまい声優。ヘタな声優。そして…太田貴子!
その第一声を聞いただけで、きっとみんな度肝を根こそぎ抜かれ、困惑し、そして最終的にはメロメロの骨抜きにされ、俊夫くんと同じくお目めがハートマークの追っかけ野郎の顔になること間違いなし!
宇宙一かわいい鼻声。それが魔法の貴子ボイス。天使がいるとしたらきっとこんな声をしているに違いない。
作画も美しい。
特に後藤真砂子さんが作画監督をなさった時の絵の美しさときたら!
第50話「マミがいなくなる…」の、優のロリフルヌード全開入浴シーンの「心の動きと共にとろけるクリィミーな泡」の表現など「この細やかな作画をテレビシリーズでなさったのか…」とその驚愕の美しさに目がとろけた。
その凄いアニメーションを支える小林七郎さんの美術もどえらい凄い。
「アニメの背景って、ほんの一瞬しか映らんこともあるのに、そのシーンのために、こんなキレイで丁寧な絵を一枚一枚描くんかのう…大変じゃのう…凄いのう…」と、作品を支えるシブい職人技に子供心にしびれたものである。
80年代アニメ界においてリン・ミンメイと並ぶスーパーアイドルであるクリィミーマミが、オープニングやエンディング、そしてもちろん作中で たっぷり披露してくれるヒットソングスの神曲っぷりは言わずもがな。
アニソン博士のしょこたんを始め、今もなお数々のアーティストにカバーされまくりあげ続けていることが、マミの歌の美衝撃の魔法がかかったようなエターナルな魅力を証明している。
ところでこの作品は基本的に一話完結形式で進んでいく。
そして驚くべきことにハズレ回のようなものがなく、通して高いクオリティーを保っており、どの話も見事に見応え満点!
さすが『うる星やつら』から『平成ガメラシリーズ』まで、数々の名作の脚本を手がけてこられた伊藤和典さんである。
個人的な激推しオススメ回はたくさんあるが、31話「優のフラッシュダンス」は、優の魔法を使わない、普通の女の子としての挑戦と挫折のシビアな描き方にうなり、そして俊夫の静かな思いやりにジーンときた。
37話「マリアンの瞳」は本格ホラーミステリーとして見事な味わい。ラストもまんまとビックリ!
42話「ママの想い出のステージ」は、あがり症の私は身につまされてドキドキ。そして肝っ玉ママの頼もしさと夫婦の強い絆にさわやかに感動。
43話「走れ優!亀よりも早く」は『ビューティフルドリーマー』もビックリの奇妙キテレツハチャメチャ時間ファンタジー。
そして48話「優とみどりの初デート」。
個人的に気になっていた「優は俊夫が好き。では、ずっと優にゾッコンの愛すべき純情ポッチャリ君 みどりの気持ちはどうなるのだろう?」という心配事にキッチリとケリをつけてくれた回。作り手のキャラクターへの細やかな思いやり、誠実さを感じた。
ところで全52話の内、ちょうど真ん中ぐらいで「好きな人の前で変身する」という『テレビ版デビルマン』のような最終回チックな感動神回がある。
しかしその後も「テクニカルなリセット技発動!」みたいな感じで、イイ感じに力づくで再スタート!
「あれ?最終回っぽい感じだったのに…」と思われるかもしれないが、これは全26話の予定だったが大ブレイク!ファンの願いに応えて52話まで延長になったためとのことである。
しかし、ご安心を!
終わる予定だったものを無理矢理のばしたため、結局パワーダウンしてグダグダになってションボリばいちゃする「少年ジャンプあるある」のようなことはなし!
ファンのラブコールに応えた延長ステージは、そのラストでとんでもなくドラマチックで感動的な最高の盛り上がりを見せるのだ!
青きあの頃、号泣した最終回をこのたび久しぶりに観てみた。
曲ごとに衣装が細かく変わる渾身のサービス満点の雨のファイナル・ステージ。
別れの時がせまり号泣するネガ&ポジ…
2匹をそっと抱き上げ、優しく頬を寄せ、歌いながら号泣するマミ…
それを見ながら号泣するおっさんのワシ…
その涙の勢いたるやステージに降り注ぐ豪雨のごとし!しまいには鼻水まで飛び出る始末!
やはり何度観ても、いくつになっても、ここで泣いてしまう。
今回紹介させて頂くOVA『魔法の天使クリィミーマミ 永遠のワンスモア』は、私のような心の荒み切ったオッサンも子供のように泣かすテレビ版をまとめた総集編と、その後の「あるエピソード」を描いた新作をドッキングさせたもの。
なので上映時間は90分と長め。
あの奇跡のような伝説のファイナル・ステージで魔法のようにクリィミーマミが姿を消してから2ヵ月後の夏。
地球に近づく、謎の2つの光があった。
一方その頃、マミが所属していたパルテノンプロの社長 立花は会見を開き、なんとマミのカムバックを宣言!
まったく身に覚えのない優はビックリ!
いったい立花の思惑は?
そしていつも彼のそばにいるアメリカから来た謎の美少女 早川愛(はやかわ あい)とは何者なのか?
優、俊夫、みどり、めぐみ、木所、スネークジョーたちお馴染みのみんなはチームを結成!
力を合わせ「ある奇策」を使い、立花が秘密裏に押し進める《プロジェクトM》の謎に挑む!
正直を申すと、テレビシリーズの総集編パートは、初見で本作だけを観て号泣するのは難しいかもしれない。
やはり、優&マミの奮闘や様々なキャラたちとの関わりを長く見守り続けてきた上でのあの感動だからだ。(特にマミをライバル視していた めぐみが最後で最良のスタッフとして最高のナイスサポートをするところなど)
見どころしかないとも言える全52話を短い尺でコンパクトにまとめ、テレビ放映時と同じ感動を生み出すのは魔法を使っても難しい。
なのでやはりファンに向けて贈られたプレゼント的作品だと思う。
そしてファンにとっては最高のワンスモア!
ミステリアスでグイグイ引き込まれる展開や、テレビ版に輪をかけて美しい後藤真砂子さんの神作画、小林七郎さんの背景などなど見どころ満点、問答無用で必見!
《プロジェクトM》の驚くべき謎が解けた先に訪れる幻想的かつ感動的な光景と、「粋で意外な形のクリィミーマミの復活」に、満員の観衆と共にきっと思わず拍手を贈ってしまうに違いない!
- オススメ度…70/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…Amazonプライムビデオ
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…Blu-rayボックス、DVDボックスあり!
■『魔法の天使クリィミーマミ』のOVAシリーズ
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