ヤングジャンプに連載されていた荻野真先生の代表作『孔雀王』。
お坊さんが密教の秘術を使ってヤンチャな魔物に喝!&ときどきちょいエロもあり!…というイカす作品。
80年代の青年マンガ界に舞い降りたこの『孔雀王』は当然、読者のハートをワシづかみ!大ヒット!香港で実写映画化もされたほど。三上博史&ユンピョウというなかなか豪華な顔合わせ。
当時、確かに劇場に観に行ったのだがユンピョウが吹き替えでずっと日本語だったことぐらいしか覚えてない!(でも確か面白かった。ヒロインは安田成美さん)
そんな大ヒット作ゆえ、当時の男子はみな全員、主人公・孔雀の唱える呪文「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」を「水平リーベ僕の船!」よりもキッチリ暗唱。お互いにキャッキャと唱えあう「孔雀王ごっこ」に興じていたものだ。
中には「淋・病・闘・者…」と呪文を間違って覚え、性病の呪いをかけるクソ坊主みたいになっているヤツもいた。私である。
それと実写版にユンピョウが出ていることから「ユン・ピョウ・闘・者・皆・陣・列・在・前!」と全然面白くないギャグを何度もしつこく詠唱してくる全然面白くないヤツもいた。私である。
実写映画だけでなく、当然のゲーム化、そしてOVA化もされた。
ここでは80年代に作られた2本を紹介させて頂く。
『孔雀王OVAシリーズ』
『孔雀王 鬼還祭』
■監督:秋山勝仁
■1988年
■55分
私は当時この作品を観ているのだが、正直に言うと、途中の「男が仏像みたいにぜんぜん動かないセックス」のとこしか覚えてなかった。
なのでこのたび再視聴。なかなかの良作で驚いた。
何で上記のエロシーンしか覚えてなかったのだろう!エロぼけに喝!淫魔退散!淋・病・闘・者・皆・陣・列・在・前!
作画がすごくいい。ちょっと安定していない箇所もあるにはあるが、今観てもなかなか美しい。
ストーリーは、認められたい病の根暗な困ったちゃん陰陽師が起こそうとする呪術テロを孔雀が止めようとするもの。
丁寧な出だし、謎、意外な展開、盛り上がるクライマックスなどできちんと構成されており、たった55分なのに物語のうねりがある脚本。
ラスボス戦の前に孔雀が最強装備にチェンジするとこも、戦うヒーローの王道を行っててアガる!敵対してたグラサンマッチョの王仁丸と共闘するとこもジャンプチックで燃える!
「良作だったんだな~!」と思ってスタッフロールを観て驚いた。(敬称略)
■脚本:会川昇(破邪大星ダンガイオー)
■キャラクターデザイン:越智博之(逆襲のシャア))
■クリーチャーデザイン:わたなべぢゅんいち(戦え!!イクサー1)
■作画監督:大森英敏(重戦機エルガイム)
なんて豪華で強力な布陣!
こりゃなかなかデキがいいはずだ!
- オススメ度…65/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…OVAをまとめたDVDボックスあり
『孔雀王2 幻影城』
■監督:板野一郎
■1989年
■60分
現代に黄泉がえった魔王・信長を討つべく、孔雀と仲間たちが立ち上がる!
行け!恐るべき伏魔殿と化した安土城へ!
「監督が板野一郎さん!」というだけで、ミンメイの彼になりたくてパイロットを目指した超時空世代の私などはもうワクワクしてしまうが、その期待をけっして裏切らぬ、メチャメチャ見応えのある作品。
原作のエピソードを大胆にアレンジして、60分という枠の中でキチンとカタルシスのある1本の作品にした会川昇さんの脚本も前作に続きお見事。
キャラクターデザインは『エヴァ』でおなじみ摩砂雪さん。
前作よりも全キャラ、美形度が大幅アップ!もうほとんど少女マンガの世界にまで踏み込んでいるようなキラキラした麗しさだ。
その美しいパーティーに襲いかかる、作画監督も務めた和田卓也さんデザインのモンスター軍団も必見。『妖獣都市』にも匹敵するようなワチャワチャした細やかな動きにギョッと喜ぶこと間違いなし。
また、作品の鍵となる、目覚めさせれば世界が終わってしまう破壊天使・ケルビムのコンセプトデザインを担当したのは、ハリウッドでも大暴れなさっていた、何とあのスクリーミング・マッド・ジョージさんである。
欲望、憎悪、憤怒。人の内に巣食う漆黒のエネルギーが異形を成してスクリームしながら吹き出したグロ美しい腫瘍のようなジョージさんのマッドなアートが本作にもド派手に発症&大暴れ!
その圧倒的な禍々しさには、信長と同じく魅入られてしまい、孔雀たちに倒されず最終形態へ無事へんげした姿を見たいと願ってしまうほど。
そうそう!
物語終盤、孔雀王ワールドのアイドル、阿修羅たんのロリかわいいフルヌードと「それいる?」とニヤリ必至な乳ゆれが一瞬ソッと挿乳される。
「このゆれは…もしや…?」と思ったらやっぱり!エンドロールで原画スタッフに『極黒の翼 バルキサス』でもおなじみ、日本アニメ界が誇る最高のオッパイ職人・うるし原智志(うるしはら さとし)さんのお名前を発見!
何事も絶対に思い込みで決めつけてはいけないが、あのシーンはうるし原さんのしわざに違いない。絶対。さすがのグッジョブ!
- オススメ度…74/100
- 無料動画の配信…なし
- 有料動画の配信…Youtube
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHS、DVDボックスあり
※原作者・荻野真先生のご冥福を心よりお祈りいたします。