■監督:出崎哲
■1986年
■74分
ファミコンとアニメが青春だった中学の頃。
友だちに、マンガ家・たがみよしひさ先生の熱狂的ファンがおり、ときどき借りて読んだ。
「マンガ界広しと言えども、ちょっと似てるのは小山田いく先生だけ!」とも言える特徴的な絵。
特にツンとしたお鼻が独特カッコいいキャラクターたちが、スラリ八頭身から急にコミカル二頭身にチェンジ!
「何だこりゃカワイイ!」と思ったところに普通に展開される、80年代童貞にはティコティコティン♪なエロと、エグい残酷バイオレンス。衝撃だった。
熱狂的なファンと数々のヒット作を持つ たがみ先生。
しかし、実は、個人的には!
私の場合、たがみ先生で真っ先に思い出すのは『軽井沢シンドローム』でもなく『我が名は狼』でもなく、SFロボットアニメ『超攻速ガルビオン』なのだった。
たがみ先生がキャラクターデザインを担当なさったこの作品。
当時、この起用には、アニメ界隈ワシ界隈に衝撃が走った。
「カッコいいけど、正直ちょっと好みは別れそうな 独特な魅力を持つ たがみキャラが、土曜の夕方の子供向けロボットアニメに登場。大丈夫じゃろうか?人気出るじゃろうか?」と、失礼ながらちょっと不安になったりもした。
そして…
不安は当たってしまい、番組は途中で打ち切り。
しかし私は好きだった。
特に何といってもあのオープニングである!
正直、本編の記憶はおぼろげなのだが、オープニングのカッコ良さはハッキリ覚えている。
今もYoutubeで観ては、モンスターマシンに乗りこみ、摩天楼に繰り出し、超攻速カーチェイスをしてる時みたいにテンション ガン上がり状態になっている。摩天楼でカーチェイスをしたことはないが!車持っとらんし。
たがみキャラの忠実な再現度がまず最高にうれしい。
そして大畑ロボ・ガルビオンが、サビのところで車からロボに変形!ゲンコで敵ロボを粉砕!続いて煙ひく納豆ミサイルを怒涛の乱射!
もうこのシーンのカッコ良さときたら!小さなパネルがパラパラ落ちるディテールにもしびれる!
おバカ中学生の時はもちろん、中学生の息子がいてもおかしくない中年の今も「みすてぃ、ろんりぃ、ちぇいさ~♪」ぐらいしか聞き取れんナニ言ってるんだかよくわからない英語まみれの歌詞もグッド!
カッコいいので皆さんもぜひ聞こう!
そんな たがみ先生のSF作品『GREY』を、アニメ界のスーパーブラザーズ出崎兄弟のお兄様、出崎哲監督がOVA化。
荒廃した未来社会。
みじめな暮らしから抜け出そうとする者は、戦士に志願し、日夜、戦いに明け暮れていた。
戦績に応じてポイントをゲット!莫大なポイントを貯めれば「市民」にランクアップ!ユートピアである「シティ」に入る資格を得ることができるのだ。
悪魔が作った無理ゲーのような世界。そして、そのどこかにあるはずのユートピア「シティ」とは実は…
「死神」と呼ばれ、敵からも味方からも恐れられる戦士GREYは戦いの果てに驚愕の真実を知る!
原作同様「APPROACH.1」というように章形式でスピーディーに物語が展開。
「AIによる人間の駆逐」が絵空事じゃなくなってきた昨今、より恐ろしさを増した物語の真相にグイグイせまっていく。
ナチュラルボーン主人公声優、井上和彦さんが演じたGREYの りりしいお声とツンデレっぷりが観てる間ずっと たまらん。
顔面破壊描写も厭わない、見応えありのハードな戦場描写、たがみ先生の原作よりエロいラブシーンもあり。エロとバイオレンスは80年代OVAの華。
そして原作と全然違う、ヒロイン・ノーヴァ同様にポッと頬を染めそうになるあの展開からのラスト。
賛否別れたらしいのですが、『明日に向かって撃て!』とか『激突!将軍家光の乱心』とか、「かないっこなさそな大勢の敵に立ち向かうトコでスパッと終わるラストシーン」って個人的に超燃えるので、私は好きです。
世界の真実に、そしてヒロインにもAPPROACHしたGREYのこの戦いの物語に、みなさんもぜひAPPROACHしよう!
- オススメ度…65/100
- 無料動画の配信…Youtube
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHS、レーザーディスク