■監督:山賀博之
■1989年
■3分45秒
『エヴァ』でおなじみアニメ制作会社《ガイナックス》は、80年代、なにげに何本か邦楽アーティストのミュージックビデオを手がけている。
このサイトでも以前、紹介させて頂いた、BOØWYの『Marionetto』や布袋寅泰さんの『GUITARHYTHM』がそうである。
そしてこの、FENCE OF DEFENSE(フェンス オブ ディフェンス)の『DATA NO.6』もその中の1つ。
不勉強で大変恥ずかしながら、私はFENCE OF DEFENSEの曲は、『シティーハンター2』のオープニングテーマ『SARA セイラ』ぐらいしか知らなかった。
本稿を書くにあたり、『DATA NO.6』、そして『SARA セイラ』も収録されているアルバム『FENCE OF DEFENCSEⅢ 2235 ZERO GENERATION』を聞いてみた。
そしてビックリ!
めちゃ長いインストはあるわ、組曲まであるわ、こりゃ、攻めに攻めたアグレッシブなプログレッシブ・ロックではないか!プログレの王、キングクリムゾンもビックリ!
『SARA セイラ』が普通に大ヒットしてたので、大変失礼ながらもっとJポップ寄りの普通の売れ線ロックなのかと思っていた。全然ちがった。
ジャケットや歌詞カードに挿入されたイラストにも描かれているようなディストピアSF的世界観を感じさせる、マニアックでロマンチックな凄いコンセプトアルバムだった。
目を閉じてジッと聞いていると、地下世界に押し込まれ、管理され、思考力さえ失いかけている人々が幽鬼のように暮らす鈍色のメトロポリスが脳内に建ちあがるようだった。
アルバムの中でクッキリ浮いてる感満点の『SARA セイラ』は、永遠の22度のコンクリートに咲いた希望の小さな一凛の花のようなイメージがした。(このアルバムは、当時、ストーリーブックも発売されたとのこと。現在、入手困難。)
『DATA NO.6』はそんなアルバムの2曲目に収録。
見せかけの理想の世界で飼いならされ、感情を失った冷たく平坦な心の奥底から、わずかだが確かに聞こえる「本物の自由」を求める熱い叫び。
「Where is your free?」と繰り返されるシャウトが胸をゆさぶるこの名曲のミュージックビデオを手がけたのは山賀博之さん。
ガイナックスの創立メンバーにして、あの名作『オネアミスの翼』を わずか24歳の若さで監督。80年代のアニメ界に華々しくぶち上げた方である。
演奏するメンバーのロトスコープアニメ、未来都市のイラスト、回廊をさまよう暗い目をした男、CGで描かれたグラフ、ホルスの目、壁画、象形文字などなど…
様々なイメージを繋ぎ合わせ、重ね合わせ、カオスでアートで神秘的でSF的で前衛的な、プレグレッシブいいMVに仕上がっている。
しかし、正規のルートで観るのはなかなか難しくなっているもよう。珍しい「ビデオシングル」という形でリリースされたらしいのだが、オークションなどでたまに見かけるのみ。
しかし、これは絶対秘密だが、張り巡らされたSENSER&LASERをくぐり抜け「ニコ動で観れる」というニコニコな情報をゲットした。
カッコいいのでぜひ!
アルバムのほうもぜひ!
- オススメ度…70/100
- 無料動画の配信…ニコニコ動画
- 有料動画の配信…なし
- ソフトのレンタル…なし
- ソフトの販売…中古のVHSがオークションなどでたまに