『僕のオールディーズはオールカラー』わたせワールドとオールディーズの大人なセッション

■監督:高橋洋次 伊藤明広
■1987年
■27分

 

異色のフルカラーコミック『ハートカクテル』で日本中を酔わせた、わたせせいぞう先生。

 

 

大ヒットしてアニメ化もされたこの代表作だけでなく、数々の広告、キャンペーン、商品のイラスト、アーティストのジャケット、小説の表紙などなど…超多方面で言わずと知れた超大活躍!

 

 

東京、兵庫、福岡の三ヵ所には、作品の常設展示ギャラリーもあるとのこと。
もはや日本において「今までの人生で、わたせ先生の絵を一度も見たことがない人」を探すほうが難しいだろう。
この愛され方はもう「国民的イラストレーター」とお呼びして差し支えないのではないだろうか。

 

 

ところで、そんなわたせ先生のマンガ作品は、色とりどりの花束のような鮮やかな絵の美しさ、シブくて優しい大人なストーリーなどなど、さまざまな魅力がカクテルされている。
そしてそのステキな味わいの1つに、わたせ先生ならではの「粋でオシャレなモノローグ」があると思う。
例えばこうだ。

 

ボクがまたたき3回の間に
Tシャツとシャンブレーのミニにかえて 青いサンダーバードのひととなった

 

北のカレと南のカノジョの距離
ハットケースの巾の30センチだった

 

ボクたちは時々デートをした
先週末は『グレンミラー物語』をhotミルクとハニーチップのドーナツを食べながら観た

 

これらは すべて わたせ先生のマンガ作品から抜粋させて頂いたものである。
な…なんというオシャレなモノローグ!
粋な言い回しはもちろん、登場する単語もいちいちオシャレ!
シャンブレー!
し…知らん!
青いサンダーバード!
し…知らん!サンダーバードとか聞いても緑色の2号機の姿しか浮かばん!
ハットケース!
し…知らん!ペニスケースしか知らん!
最後のなんて私だったら

 

ボクは時々エアー彼女とデートをした
先週末は『うろつき童子』をドデカミンとカラムーチョ食べながら観た

 

…とかになってしまう始末。
このようなオシャレさは、社会の底辺をズリズリはいずり回ってきた私なんぞと違い、やはり、早稲田出身で一流保険会社のトップ営業マンだった わたせ先生ご自身が、ハイソサエティな世界を知るオシャレな方なのだろう。
そしてここが凄いところ!
粋で、オシャレで、そして…イヤミがまったくないのである!
このナチュラルボーンな上品さ。
まさにパーフェクトジェントルマン!

 

とってもカッチョいい大人な、わたせせいぞう先生

 

今回、紹介させて頂くOVA『僕のオールディーズはオールカラー』は、そんな わたせ先生が『ハートカクテル』と並行して描いておられた短編集をアニメ化したもの。

 

 

原作の中から5つのエピソードをチョイス。
『ラブ・ミー・テンダー』や『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』など、誰もが耳にしたことのあるオールディーズに合わせ、愛しく切ない人生の一小節を、優しさを込めて描き出す。

 

 

以前、紹介させて頂いたOVA『チョーク色のピープル』と同じように、わたせ先生の絵をそのまま取り込み、一部にアニメーション処理を加えるという手法を採用。
声優はまったく出てこず、あの独特な「わたせフォント」のみでエピソードが語られる。

 

 

ショートストーリー集だった『ハートカクテル』や『チョーク色のピープル』よりも、さらにショート。上映時間はわずか27分。
OVAというより、MV(ミュージック・ビデオ)色が濃い作品になっている。

 

 

正直なところ、わたせ先生のあの鮮やかな絵が目に飛び込んでくるような、マンガならではの大ゴマや見開きページ演出などは、原作のほうがグッとくる度が高いシーンもあった。

 

 

しかし、曲名や歌詞が明記されるだけだったオールディーズが、わたせ先生の絵に合わせて実際に流れるのはやっぱり感涙度フォルテッシモ!
わたせワールドとオールディーズの、この大人なセッションに酔おう!

 

■わたせせいぞう先生の公式サイトです!↓

わたせせいぞう -SEIZO STATION-
漫画家、イラストレーターわたせせいぞうのプライベートブログです。

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